朝の連続テレビ小説 『おちょやん』最終週 「今日も良い天気や」
朝ドラ最終回のこんな展開がお約束でしょう
- ヒロインを支えた人たちが集まり、パーティを開催する
- ヒロインは皆にこれまで自分を支えてくれた人ちに感謝を述べる
- 旦那の愛を確信する
- 更なる高みに向かって出発する
このお約束をいかに自分の色で表現するかが、脚本家、演出家の腕の見せどころ。
失礼ですけれども、『スカーレット』は見事に滑っていました。なぜ、みんなで琵琶湖に行ったシーンでエンディングを迎えない。あくまでも私感ですが、見事な駄作でした(笑)
それは脚本家がこの後、みんなどうなるのか?不安だったのでしょう。それでいらない説明をグダクダと繰り返す。その結果があの駄作を生み出したと個人的には分析しています。
約半年、最初は迷走していた印象を受けましたが、『おちょやん』はしっかりとテーマを持ったいいドラマでした。
『おちょやん』というドラマはある意味、異様なドラマでした。視聴者に忖度してわかりやすいドラマが横行する昨今、骨太で最後の判断は客に投げつける。そんなドラマでした。
彼女は創造主ではあるが、演技が出来ないので、役者は脚本を表現する為の道具にすぎない。その世界には演出家、撮影も入ることは許さない。
私は独善的に世界を支配する橋田壽賀子を最低の脚本家だと思っている。
気分が悪くなる人もいると思ったので、少しフォントの色を薄めました😅
それに対して『おちょやん』は決して視聴者に忖度することなく、テーマの理解や作者の意図は視聴者に丸投げする。セリフにはするが、主題の読み取りは視聴者に任せている。
このドラマでのテーマは前回にも言いましたけれども、「前を向いて生きる」。最終週ではしっかりと「前を向いて生きる」というテーマを千代、一平はさらに昇華させ、「今ある人生が全て」、「生きるというのは、ほんまにしんどくて、おもろいな」という境地に到達する。
春子が今の成績では無理だと、「看護師になるという」夢に向かって歩きはじめる。
この一言には泣きました( ; ; )。
加えて、杉咲花、成田凌の役者としての成長はすごかった。そして篠原涼子、西川忠志、中村鴈治郎、星田英利、生瀬勝久の周りを固めるベテラン俳優陣の凄みのある演技は感銘しました。特に、篠原涼子は今までの「綺麗なお姉さん」から一皮剥けましたね(笑)
ところで、会場にいた千代の肉親の3人。彼らがパーティには参加できないから、あすこにいたのでしょう。だけれどね、あの演出はちょっとね(笑)個人的には首を傾げます。
客席にトータスたちを座らせておけばいいのではないのかと、思いますけれどね。(笑)
繰り返しますけれども、いきなり、舞台挨拶ではじまり前半は伏線を放置、もしくは何故?「何がきっかけ?」みたいなものも多かったですけれども、京都編あたりからしっかりと伏線と回収を繰り返し、脚本と演出が乗ってきたと思ってみていました。
今回の売りだった劇中劇。松竹新喜劇をそのままにこの試みはよかったです。
良いドラマでした!
ところで、次回作『おかえりモネ』の売りはなんでしょう?