読書の話📚Vol.24 呉智英✖️適菜収対談 『愚民文明の暴走』
『愚民文明の暴走』は呉智英、適菜収の対談です。
このブログで何度も登場しますけれど、両氏とも民主主義という政治スタイルに疑問を持ち、何度も警鐘を鳴らしています。
目次からしてビリビリにします。まあ、一度は読んで欲しい本です。
全体を通して述べるなんて無理がありますから、「第六章 民主主義か哲人政治か」を中心に取り上げます。
魔夜峰雄氏のマンガ『パタリロ!』は1978年から掲載誌を変えていまだ連載を続けている人気コミックです。パタリロはマリネラ王国の国王であり、完全な独裁国家として統治しています。しかし国はダイヤモンド貿易で豊かで、民は決して疲弊していない。
岡田斗司夫氏の『「世界制服」は可能か?』では北朝鮮の先代、金正日は国を支配しているけれど、その暮らしは全て海外からの輸入品である。
マリネラ王国と北朝鮮の共通項は国家を支配していることであるけれど、前者は民は豊かだから王様は楽しそうであるかれど、北朝鮮は決してそんなことはなさそう。
哲人政治とは?
中国は儒教の国である。仏教の思想の影響もあるけれども、東アジア諸国は基本的に儒教の影響は大きいと思っている。そこに民主主義、みんなんで決めましょうという思想は合っていない。(恥ずかしいから、聖徳太子の『憲法十七条』を取り上げて、世界最古の民主主義国家とか言わないように)
この本の中で、呉智英氏の究極の理想は「賢者の政治」だと述べている。この考えは儒教の徳による階級制からきている。
中国の歴史を見ると、「徳のない王様はやっつけていい」という思想があるらしい。日本ではちょっと受け入れ難いけれども、これは儒教、朱子学の思想である。
徳川幕府も朱子学を重視したけれども、これが最後には倒幕運動につながってしまったのは皮肉でした。
今の習近平氏も当然中国の歴史を知っています。決して事を構える気はないだろうけれども、あまりに弱腰の外交をすると、寝首を取られるかもしれないから、結構周りを見ている。
適菜収氏はかつてこのブログでも紹介しているけれども、『日本をダメにしたB層の研究』でも取り上げたけれども、民主主義には警鐘を慣らしている。橋下徹に対して「面白がってチンピラを持ち上げたに過ぎない」とまで言っている。
では、哲人はどこにいるのか?英雄待望論?ひょっとして民主主義は英雄を探す制度なのかもしれない。しかし突然出現しません。その方法の一つが「選挙権試験制度」かもしれません。
呉氏は最後に哲人政治を目指すには官僚のように実務能力を持った人たちの外側にある「何か」作らなければならないという。
ここで対談は終わっている。
その何かとは、やはり宗教的な教えになるのかな?しかしここでまた、変な宗派が出た来るのは嫌だね。
たびたび、使用します。大変面白い本なので是非ともご購入を(笑)