朝の連続テレビ小説『おちょやん』 第17週「うちの守りたかった家庭劇」 反戦の表現
開戦!そしてファシズム
NHKBSプレミアムで放送された『ダークサイドミステリー』、「笑顔が暴力を生んだ夜なぜ人々はヒトラーに従った」またまた知的好奇心をビシビシと刺激するものでしたね。
番組中、田野大輔氏の『ファシズムの教室』が紹介されていました。同じ服で「ハイル日野!」と叫び、足踏みをすると高揚感、一体感が生まれるという。これは群集心理を巧みに使ったトリックだそうです。
仮想敵の設定だとか、今の政府もやっていますね。ああ情けない!
当時の日本軍部もこの手法を使っていました。
新興宗教やネットワークビジネスでやたら勉強会とか講習会と言って集会を行うのはこういう効果もあったのですね。
日本では心理学という分野は比較的欧米よりも研究が遅れていると言われています。とても、当時の軍部が知っていたとは思えないので、同盟国のドイツを単純に真似ただけだと思われる。
安倍政権の時に言われた「美しい国」というのはこれを目指していたと思われます。
けれども、考えが古いぜ!
『おちょやん』第17週「うちの守りたかった家庭劇」は戦争に突入して旗色の悪くなった日本の姿がそこにある。
偶然にも2020年上期の『エール』と同じ時代を取り上げます。
偶然か、それとも確信犯か?しかし視点が異なります。
『エール』は戦争を図らずも仕掛ける側。『おちょやん』は被害者側。
さらには、福助と百久利の出征のシーンが非常に印象的。
敵性音楽を演奏しているとされ、まるで思想犯のように年齢をオーバーしていると思われるにもかかわらず、徴兵される。それに対して百久利は喜んで出兵する。「お国の為に死んできます」と元気に出兵する。
二人の姿勢があまりにも対照的。
鶴亀家庭劇の解散 戦局の悪化が人を狂気に走らせる
戦局の悪化、敗戦が見えてくる。新聞報道は快進撃を続けているかのように報じるにもかかわらず、何故本土が空爆される。連夜の空襲で疲弊していく。それでも防空防の中でのアドリブの掛け合い漫才が千代に微かであるけれども、光明を見出す。
そして家庭劇の解散命令。人の心が潤いを失ったら人はおかしくなる。「お国の意志」、「お国の為」という同調圧力が自分の行動を正当とさせる。
今回のコロナ禍での「自粛警察」などの報道を聞くと日本人は精神的に80年前から成長していないのではないか?
千代は意地で、家庭劇を続けることを決意する。こんな時代だからこそ「笑」を必要としている。
今週は一旦バラバラになった仲間たちはすぐに戻ってくる。心底芝居が好きで集まった連中なのか?それとも千代の熱意で芝居が好きになったのか?
少し希望を見せるけれども、道頓堀が空襲されたニュースで今週は終わる。
戦争という題材をどうえがくか?
ステレオ的な反戦かもしれない。下手な表現かもしれない。しかし叫び続けることが必要ではないのか?
そんな週であったと思う。