読書の話Vol.3 📚 『走れメロス』太宰 治
どんな分野でも、「好きな〇〇は?」と聞かれて、その第一人者の名を答えると、ちょっとした気恥ずかしさ(笑)を覚えませんか?
「好きなミュージシャンは誰ですか?」と聞かれて「ポール・マッカトニー」と答えると、「結構ミーハーですね」とか、「あまりロックは詳しくないみたいですね」とかあまり詳しくない人にムカっとしませんか?嫌ですね💢
ならば、「ロジャー・チャップマン」とか「ルシファーズ・フレンズ」といえば満足しますか💢
皆さん、太宰に一度はハマりましたか?
私は浪人時代にはまりました。太宰とヘッセは麻疹です。若いうちに抗体を身体に作らないといけません。歳をとってから麻疹にかかると命に関わります。
『走れメロス』は学校の教科書など掲載されていることも多いので、はじめて読んだ太宰の作品と言う人も多いと思います。でもこの話変だと思いませんか?
“メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王をの除かなければならぬと決心した。“
最高のオープニング。読者は一気に身を乗り出す。つかみはOK!でも、何故、メロスは激怒した?
正義感が強いからといって、政治もわからない、十里も離れた村の羊飼がどうして、よその国王に腹を立てる?しかも堂々と宮殿に乗り込んで王を殺そうとします。
随筆家の若松英輔は王の視点で物語を捉えたが、やはりメロスの視点で物語を読むのが、本来の姿である、と思う。
久しぶりに読んで少し気になったのけれど、メロスの精神の変化があまりにも激しい。そして何度も自分に負けそうになる。王の卑劣を憎みながらも、王の思う通りに動いている自分を嫌悪する。
「自分の気持ちと葛藤しながら、約束を果たして、友を助けたメロスは偉いと思います。感動しました」では小学生レベルです。
これってひょっとして太宰はメロスの姿を恨みながらも、憎みながらも国の思う通り、出版社の思うように動いている自分と重ねているのか?それでも小説を書くしかない、自分のことなのか?ひょっとしてメロスも太宰の分身?
メロスは死ぬために走り続ける。逃げればいいのに!
でも、約束通り、メロスは帰ってきた。ひょっとして、自由人を気取りながら、小説を生業として書いている太宰の自己嫌悪なのか?
久しぶりに読んで、よりわからなくなってしまった。
やはり太宰は麻疹だ。これで無限ループにハマってしまった。
最後に『走れメロス』をブログに載せようと決心して最後までやった私は頑張った! 以上、終了にします。